昭和39年に完成した谷地田町(やちだまち)の屋台は、宮大工・鈴木嶋雲氏の手によるものです。金箔、総うるし塗り、十和田産のケヤキ、桂材をふんだんに使用しています。竜を浮き彫りにした豪華で重厚な風格は、見るもののため息を誘います。
正面の鬼飾は謡曲「高砂」にちなみ杜を守るサギリの老夫婦をあしらい、まわりには相性の松を刻んでいます。また正面の二本の本柱には、ケヤキ材で登り竜下り竜を浮彫りにしています。
この屋台が完成したあと、明治・大正・昭和と三時代にわたって使われた古い屋台は、破風飾や土台など使用できるものを他の二町内に譲り、その町内の祭典参加への道を開きました。