ちょうざかいのあいさつ
外交部は祭の花形で、外交部の働きを無くして花輪ばやしは語れません。外交と書かれた提灯を持った人が、その町内の屋台を先導する外交部です。外交には、他町内の通行許可をもらう、大事な役割があります。
花輪の町には七ヵ所の町内の境い目、つまり「町境」があります。舟場元町と舟場町、舟場町と新田町と六日町、六日町と谷地田町、谷地田町と大町、大町と新町と旭町、新町と横丁と組丁、横丁と組丁の境です。
屋台が、この町境に差し掛かったとき、外交による「町境乗り込みの挨拶」を見ることができます。
挨拶の一例
町境では写真のように、それぞれの町内の外交部が提灯をてかざし、話し合う場面があります。この時以下のようなやりとりが行われております。
隣町内に乗り込む側の挨拶
「○○町内申し上げます。かねてお約束の時間に参上いたしました。
ただ今から××町内をお通し願います。」
迎える側の挨拶
「××町内申し上げます。ただ今の○○町内のお申し出確かに承知いたしました。
どうぞお通り下さい。」
これはあくまでもスムーズにいった場合です。町境の位置があいまいなため、提灯を置く位置をめぐり、もめる場合がたびたびあります。昔は町境のいざこざがこじれて、屋台をぶつけて押し合ったり、血の雨が降ったという血気盛んな時代もあったようです。
20日未明に行われる朝詰では、たびたび町境の挨拶がこじれます。この時、屋台をギリギリまで近づけ、お囃子合戦をしたり、中には屋台をはげしくぶつけ合う、けんか屋台に発展する町内があります。
荒々しい祭りの一面を見ることが出来る、花輪ばやしみどころの一つでもあります。
町境の見送り
町境のしきたりの中には、屋台が町内を通過し再びその町内を通って帰るとき、町内の外交担当者が、通過する町内の役員および屋台を出口となる町境において、見送るしきたりがあります。
丁寧な気持ちのよいならわしで、相手側に対する最大限の敬意を表します。
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